私の幸せ。
-雪姫side-
蒼について行ったものの、躊躇ってなかなか出てこない私に業を煮やしたのか、手を蒼に引っ張られ屋上に。
そして、呟くような小さな声で『雪姫……。』と懐かしい声が名前を呼ぶのが聞こえた。
『まさか…』と思って、自然とそちらに視線を向けると……私が覚えてる姿よりもかなり大人っぽくなった拓真がそこにいた。
「えっ、拓真…。
どうして……。」
まさか、また逢う日が来るとは思ってなくて、私は頭が真っ白で思考回路が停止してしまった。
拓真も驚いたまま止まっていた。
「そう、この子…同じクラスの檜山 雪姫ちゃん。
てか、2人知り合い??」
「何か訳ありそうだね。」
蒼が私を紹介した後、不思議そうに聞いてきた。
その後に頭の良さそうな眼鏡をかけた黒髪の肩より少し上くらいまでの髪の長さの男の人が、私達の反応を見てそう言った。
「おい、拓真。」
もう1人の茶髪に銀メッシュの男の人が拓真を揺さぶった。
「あっ、あぁ…。」
拓真がそれで気を取り戻したのか、一度その人を見た後…こっちにゆっくり歩いてきた。
私は無意識に目の前の拓真から一歩後ずさる。
「元気、だったか?」
「うん…。」
「ごめんな…。
こんな言葉では許されねぇけど…。」
「言ったでしょ?
幸せになってって。
だから、そんな顔しないで。」
「わりぃ…。」
拓真は複雑そうな顔で再びそう言った。