私の幸せ。
「今、翼龍って族の総長やってる。
で、ここは不良ばかりが集まる学校なのはお前も知ってるだろ?
歴代の翼龍幹部や面子も大体この学校卒業で、今の面子も殆ど此処に通ってる。」
「そうなんだ。」
「てか、何で蒼と同じクラスなんだ?」
「どういう事??」
拓真の質問の意味が分からなかったらしく、蒼は拓真に問いかけた。
「こいつ、俺と同い年だから。」
「うん。
1年高校受験見送ったの。」
「どうして?」
「秘密。」
私が拓真に続いて答えると、少し考えてるような顔で槙さんが聞いてきたけど、そう言っといた。
誰も聞きにくいのか、赤ちゃんはどうしたのかとか聞いてこなかった。
多分皆はおろしたんだと思ったんだと思う。
でも、逆に好都合だった。
ここの事言わなくて良いから。
でも、槙さんにはバレそうな気がしたから、あえてそちらから向けられている視線には気づかないフリをした。
「あっ、私…そろそろ帰ろうかな。
自習でしょ?」
「うん。
何か用事でもあるの??」
「ちょっとね。」
そう言って、その日は一度教室に鞄を取りに行って帰った。
拓真が暴走族に入ってる事に少し驚いたけど、でもまた逢ってしまった事の方が吃驚した。
でも、良いのかな?
このままで…。
学校が同じって事は、あの屋上に行かなくても校内の何処かで拓真に会う可能性もあるって事だよね??
私達、とっくに別れたし…もう会わないって決めたのに。
約束したのに……。
でも、心の何処かでまた拓真に会えた事を嬉しいと思ってしまった自分が居る。
拓真…ごめんね。
それから、4時くらいにここを迎えに行った。
「ここー!」
「ゆーちゃん!!」
実はここを産んでからこんなに長い時間離れた事がなかったから、ここに会えるのが嬉しくて、ついつい遠くから大きな声で腕を広げて名前を呼んだらここも嬉しそうに駆け寄ってきて抱きついてきた。
それが可愛くて、周りを気にする事なくぎゅうぎゅうと2人で抱き合う私達親子。
「あっ、お帰りなさい。」
「ただいまです。
ここ、どうでした??」
「良い子でしたよ?
お姉さんが行っちゃって、ちょっと泣いちゃったけどあとは本当に良い子でした。」
「良かった。
ここ、偉いね!!」
先生からここの様子を聞いて、逆にここも寂しかったという事も、良い子にしてた事も嬉しかったので頭を撫でた。
「じゃあ帰ろうか。」
「気をつけてね。」
「はい。」
工藤先生からここの荷物を受け取り、お辞儀してここを抱っこして帰った。