私の幸せ。
「話って??」
「急にごめんね。
あのさ…こんな状況になったからこそ、隠し事はよくないと思うんだよね。」
「えっ?」
突然槙がそう言った事に驚いて、それしか返せなかった。
図星過ぎて。
「今日…朝見ちゃったんだよね。
雪姫が幼稚園から出てきたとこ。」
「嘘…何で??」
「俺の家ね、あそこの幼稚園の近くで…通り道なんだ。
で、何の用だったの?」
「どうしても、言わなきゃ駄目??」
「知らないと守れないでしょ?」
「分かった。
本当は私…子供産んだの。
心愛っていうんだけど、今2歳半くらい。」
「やっぱり…。」
何処か分かってたみたいで、本当の事を言うとそう呟いた。
「雪姫、こういう状況だからちゃんと拓真にも皆にも話した方が良いよ。」
「そうするしか…ここを守れないんだよね??」
「うん。」
私が確認すると、真剣な顔で槙は頷いた。
「分かった…。
話すよ。」
私はそう返して、皆のもとに戻った。
槙も後ろから黙ってついてきた。
皆に話す。
けど、今更拓真にここの父親になれなんて思ってない事も話さないと。
「あっ、ゆっきー。
槙と2人で何話してたの?」
「今からその事について話すから。
聞いてくれる??」
蒼がいつものように話しかけてくれたので、そう切り出した。
拓真と時雨は聞く気があるみたいで、黙って私が話し出すのを待っている。
それを確認して、私は座って話す事にした。
「あのね…私、話してない事がある。
皆が聞いてこないのを良い事にあえて話さなかった。」
「何?」
私が切り出すと、蒼が聞いてきた。
「私…。
私ね…中学2年の時、妊娠したって言ったでしょ?」
「うん。」
「産んだの。」
「雪姫…マジで?」
私の言葉に拓真は驚いた顔でそう聞き返してきた。
「うん。
拓真と別れた時、『分かった。』って言ったけど、まだどうしようか悩んでた。
で、ママに相談する決断したんだけど……出来なかった。」
「言い出せなかったの?」
私の途中で切った言葉に先を促すように、時雨が聞いてきた。
「ううん。
ママ、亡くなったの。
事故で。
拓真はしってると思うけど、私は母子家庭で。
兄弟も居なかったから、一気に1人になった。
親戚も引き取りたくないみたいで、本人の前で揉めるし…。
私には、お腹の中にいたあの子しか居なかった。
だから、リスクが高いって言われたけど、産んだの。」
私は何か言いたげな皆に気づいたけど、最後まで話した。