私の幸せ。
それからあっという間で、放課後…。
私は拓真と共に誰のか分からない、高級感漂う見た目の車の後部座席に乗っていた。
槙は助手席で、時雨と蒼はバイクでついてくるらしい。
今向かうのは、ここの幼稚園。
この車で迎えって、目立ちそうだな…。
何処にあるかとか言ってないはずなのに、何故か正確に幼稚園に向かってるし。
あっという間に着いた。
「俺達はここで待ってるから、2人で行っておいで。」
何故か槙は後ろを振り返ってそう言うと、私達に手を振った。
「行くか。」
「うん。」
短い言葉をかわし、2人で車を降りた。
「すいません。」
「あっ、ここちゃんのおねぇさん。
お帰りなさい。」
声を掛けると、工藤先生が出てきて笑顔でそう言ってくれた。
「ただいまです。」
「そちらの方は?」
私が返事をすると、後ろに経つ拓真に気づいたのか聞いてきた。
「えっと…何と言ったら良いのか。」
「はじめまして…三浦 拓真です。
心愛の父親にあたります。」
私がどう答えようか悩んでると、そう言って拓真が自己紹介した。
確かに父親だけど…もう私達付き合ってないし、こういう質問は何て言って良いのか困る。
「そうですか。
じゃあここちゃん連れてきますね。」
暫くして、荷物を持った先生がここと手を繋いで現れた。
「ここー!
ただいまー!!」
「ゆーちゃん!!」
そう言葉を掛けつつ、私はここを抱き締める。
ここも私の身体に小さな両手を伸ばして抱きついた。
本当に大好きだと思う。
愛してる。
こんなに愛しい存在はこの子しか居ない。
ここと居る時間が何よりも幸せ。
「はい、これ。」
「あっ、すいません。
では、また明日。」
「はい、さようなら。」
「気をつけて帰ってください。」
「どうも。」
工藤先生がここの荷物を差し出しながら声をかけてきて、漸くこことの世界に浸って待たせてしまった事に気づき慌てて受け取った。
笑顔で見送る先生と少し言葉を交わして、それを見ていた拓真も最後に一礼して、ここと手を繋いでゆっくり歩きだした。
拓真もさっきからここをガン見しながら後ろに続いて歩いて園を出た。
「ゆーちゃん、だぁれ?」
ここは拓真の存在に気づいてたみたいで、不思議そうに指差しながら聞いてきた。
「三浦 拓真。
よろしくな。」
「たーくん??」
「へっ、」
拓真がしゃがんで自己紹介すると、ここはいきなりあだ名で呼んだので、私達を2人とも吃驚させた。
「たーくん??」
「あっ、うん。
そうだね。
拓真だから、たーくんだね。」
「呼び方は何でも良い。」
もう一度確認するようにここが拓真を呼んだので私は頷き、拓真は凄く久し振りに見る優しい笑顔をここに向け、頭を撫でた。
少しそれにドキンとした。