願わくば、君があの子と結ばれませんように
自分1人では何もできない。


誰かを頼らないと話もできないほどに。


そんなヘタレな人でもいいところはあるんだ。


そこに私は惹かれたのだから。


だけど幸斗は私に好かれても意味がないわけで。


仕方ないから私が協力してあげている。


私のおかげで2人は話すこともでき、連絡先も交換することができた。


私の胸は苦しくて張り裂けそうだけど、たまに聞くんだ。


昨日はこんなこと話した、あんなこと話したって。嬉しそうな顔をして。


その顔を見るのは好きで。わけがわからなくなってくる。


ここまできたらもう、今回は告白といったところだろうか。


そうじゃないと思いたいが、他に相談することなんてない。


それでもあるってことは、それくらいしかないだろう。


そんなことを考えていたら、なんともう1日が終わっていたらしく。


瑠夏に言われた。


「今日の麻稀、抜け殻みたいだったよ」


と。まぁそうだろう。ずっと考えていたのはあいつのことで、それも嫌なことだったのだから。


適当に返事をして、幸斗に話しかけられる前に先に帰らねばと、焦って早歩きで帰った。
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