願わくば、君があの子と結ばれませんように
「ただいま〜...。」
帰ってくるときに親はいない。
ここまでくれば幸斗も何か察してくれるだろう。
ところが。
コンコン
え。窓の外に、幸斗がいる。
はぁ、そうきたか。
なんと家のベランダから私の家のベランダまで渡ってきたのだ。
本当に、ここまでロマンティックなつくりなら、最後までやって欲しかった。
残酷にもほどがないか。
仕方なく窓を開けると、早速文句を言われてしまった。
「なんで先に帰るんだよ」
いや、わざとですけど。
「昼休みも、てか今日一日お前変だったぞ?」
誰のせいだと。それより“あの子”みたいに私のことも見てくれてたの?
そんな期待のような気持ちが少しだけ、湧き上がった。
そんなわけないか。
「なぁ、なんか言えよ。」
言えるか。
一日中ずっとあなたのこと考えてましたなんて、言えるか。