願わくば、君があの子と結ばれませんように


知らないのだから、仕方がない。


でも正直言うと、あまりしないでほしい。


これ以上、私の心が壊れるのだけは避けたい。


はぁ、さっき、逃げてきちゃったな。


今更後悔する。


あの時幸斗が話そうとしていたのは、例の幸斗の好きな人のことだろう。


もうかれこれ半年近く、私は幸斗の恋話に耳を貸していた。


そして、アドバイスもしていた。


この話になると、無性に泣きたくなる。


胸が痛すぎて、叫びたくなる。


心に鉛が落ちたように、体が重くなる。


こんなことは、初めてだった。


今までずっと幸斗と一緒にいて、きっと幸斗は私のことを女として見たことはないだろう。


だけど、あの頃の方がまだマシだった。


幸斗に好きな人がいなかったから。


でも今は状況が違う。


幸斗に好きな人ができてしまった。


そして半年前、それを告げられてから、私と幸斗の関係が少し変わった。


私は幸斗の良き理解者であり、恋愛アドバイザーのようなものに。


1番近くにいるのに、幸斗にこの想いが伝わることはない。


そして、伝わったとしても、振られることは一目瞭然。


それならもう伝えなくていい。


少しでもそばにいたい。


そう思った。

< 6 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop