惑星のダンス
プロローグ
四月中旬、新入生がクラスに馴染み、それなりに話せる友人作りが完了する今日この頃、教室は朝からアイドルの話でもちきりだった。

「“Venus”のミキちゃんがカメラに向かって『にこっ』て笑ったの『にこっ』て!」

「見た見た可愛かった天使だった」

「なに、ミキちゃん推しなの? あたしはアイちゃんなんだけど」

「わかるーアイちゃんくっそ美人よ」

「そうわかってくれる? あの子はね『可愛い』っていうより『美しい』のよ」

「それなー!」

数人の女子生徒が一つの机を囲み、きゃらきゃらと高い声でさえずっている。

少し離れた席で、天野愛は、聞くともなしに彼女らの話を聞いていた。
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