惑星のダンス
噛み合わなかったのは根本が違ったからだった。

天は美しさを声に乗せた。愛は寂しさを。

愛が感じた寂しさは、美しさと表裏一体で……だから噛み合うようで噛み合わなかった。

淡い紫をまとうクラゲが水中を漂っている。

天は呟いた。

「俺にはそういう知り合いはいないから……だからわからないのかもしれないけど、あの曲からは、負の感情は伝わってこなかった……と、思う」

偉そうに語れるような才能は持ち合わせていないのでどうしても曖昧な言い方になってしまう。

愛が視線を寄越したのがわかった。

「なんか、こう……ガラスのビンを光で満たしたような……脆いんだけど、すごく大切にしまってあったもので……宝物なんだ」

見つけた、と思った。宝物。そう、天はそれを言いたかった。
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