惑星のダンス
天は愛になにか言いたいようで、なにか言われたいような気もする。

愛の気持ちを知りたいようだし、自分の心を知ってほしいようでもある。

「天」

エレベーターの前で愛が振り返った。

切れ長の目に、その涼やかさの陰に、わかりにくく熱が宿っている。

「初めての映画で共演するのが天でよかった」

天は愛を抱きしめたくなった。顔を背けながら、右手で目を覆う。

「……俺もだ。おまえでよかった」

「そう」

「そうだ」

エレベーターが到着した。二人は乗り込んで隣り合う。

その距離は、今までよりも近い。
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