惑星のダンス
愛は興味ないとでも言いたげに、まったくの無反応だった。

「ったく」

「アイさん、ソラさん、お願いしまーす」

スタッフから声がかかり、愛は音を立てず立ち上がった。

「……あー……、愛」

呼びかけると彼女は涼やかな眼差しを向ける。

天はそれをまともに受け止められず、斜め下に視線を逃がしながら、努力してなんでもないことのように言った。

「今日の衣装、似合ってる」

「ありがとう」

さらりとしているのが小憎らしい。天は小さく首を振った。

愛が纏うドレスは、清廉な水色を基調とし、柔らかなレースやシフォンで動きを持たせたものである。
袖はゆったりとふくらみ、アシンメトリーなスカートは、愛の細い右足を外気にさらしている。
胸元のリボンもアシンメトリーで、型に当てはまらない愛の姿をそのまま映し出したようだ。

とてもよく似合っている。妖精かと見紛った。愛は可憐で美しかった。
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