惑星のダンス
「……天も」

「ん?」

楽屋の出口へ向かいかけていた愛が足を止め、天のことは見ないまま、ぼそりと言った。

「よく似合ってる。格好いいよ」

「……っ」

天が言葉を紡ぐ前に、愛は楽屋を出ていってしまう。

ああくそ、反則だ。

格好いいなんて、俺に対して使うのかよ。

じゃあ俺は可愛いとでも言えばよかったのか。いや可愛いんだが。そうでなく。

天は床にへたり込みそうになりながら(衣装が汚れるので踏みとどまっている)、なんとか頬の赤さを誤魔化そうとする。

スタッフが再度呼びに来るまでの五分間、一人悪戦苦闘していた。
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