惑星のダンス
「──アイさん」

名を呼ばれ、愛は振り返った。

覚えのある声だった。記憶の通り、振り返った先で微笑んでいるのはユノだった。

「どうも」

「ソラさんと一緒に歌うんですよね。……羨ましい」

「そうですか」

淡々と言葉を返す。ユノの表情は欠片も変わらない。陶器のように白い肌。今日の瞳はエメラルドだ。──愛にはやはり、濁って見えるけれど。

得体の知れないこの人を、本能的に怖く思うけれど、以前ほどではない。

愛は今日、天と歌を重ねるのだ。

「ユノさん。お互い頑張りましょう」

「はい。楽しみにしています」

ユノは優雅に一礼して消える。入れ違いで変な顔をした天がやってきた。

歌番組が、いよいよ始まる。
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