惑星のダンス
「──ソラ、準備はいい」

「当然」

マイク片手に天は答える。ひしめく観客が見える。自分たちの姿を映すカメラがある。

ステージに立つとき、天は、ここに世界の全てがあるように思ってしまう。

照明の色が切り替わった。淡い青の中で、旋律が流れ出す。

すぅ、とアイが息を吸い込む音がした。

花びらのような彼女の唇から紡がれる歌は、繊細で溶けてしまいそうだ。

ソラはそれを、壊すまい、と念じながら声を重ねる。

叶うなら支えとなるように。そしてうまく交わるように。

互いが互いを惹き立てあう。歌声は、溶けて混ざり合う。

歌い終わった二人は、万雷の拍手に包まれてステージをあとにした。

歌番組は無事に終わった。これ以上ない、最高のパフォーマンスだった。
< 122 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop