惑星のダンス
──その様子を、見ていたものがいる。

「……くそっ……くそ、くそがっ……」

男は車のハンドルに拳を叩きつけた。車中のテレビでは、アイとソラから司会へ、ちょうど切り替わったところである。

「……んであんな男がっ……アイの、隣にっ……!」

男は目をぎらつかせていた。狂気をむき出しにしたまま、スマートフォンに手を伸ばす。

「……俺だ。さっき言った通りにしろ。わかったな?」

一方的に言って通話を切る。それから停めていた車のハンドルを握った。

日が暮れかけたばかりの街を、黒い車が駆けてゆく。
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