惑星のダンス
三度目のキスは長くなった。

「……。どうするんだよ……」

「どうもしない。誰にも言えない秘密が増えただけ」

「俺、自信ないぞ……」

というのは隠し通す自信である。

「なくてもやるしかない」

「……うう」

愛がウエットティッシュを取り出していた。手招きで天を呼び寄せ、唇を拭う。

「仕事中はなしにしよう」

「……。はい」

紅が移ったウエットティッシュをゴミ箱に投げ入れ、愛は天を見上げた。

しかしなにも言わない。天は怪訝に思って訊ねる。

「……? どした?」

「いや。見惚れてただけ」

「っ」

顔色ひとつ変えずそんなことを言う。咄嗟に顔を覆うも、彼女が目を細めたことで見られたとわかった。
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