惑星のダンス
薄暗い道を三人で歩く。

六階にレッスン室を有する、我らが事務所“AMETSUCHI”から徒歩十分のところに、天野家はある。

「……やけに機嫌がいいよね、海兄」

彗を支えながら歩く実兄に、愛は話しかけた。

「わかる?」

「隠す気ないよね。なんでさっき、『海兄』って呼ばせなかったの?」

自販機前のベンチでだ。いつものように『海兄』と呼ぼうとしたら、目配せをしてきた。

兄妹の呼吸で言いたいことを感じ取り、とりあえずあの場は『海くん』と呼んでみたものの。

「いやさ、深い意味はないけど。天の反応が面白いかなと思ってさ」

実際面白かった、と思い出し笑いをする兄を、呆れ半分振り返る。

悪気はないが悪い兄だ。
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