惑星のダンス
「おま……、なん……」

呆れたような眼差しと皮肉な口許を残し、足立はどこかに消えた。

見抜かれるのは、いつまで経っても慣れない。

「祐実には敵わないな」

「……まあ、足立にはバレてもいいけどさ」

天は視線を落として愛を見る。

「他には絶対にバレないようにしような」

「当然」

愛も天を見返した。眼鏡の奥の瞳は凛として綺麗だ。

「さしあたり、映画の撮影かな」

「あー、うっかり普通に親しくしすぎるもんな」

お互いにキャラを忘れて笑ってしまうことが多い。

とにかく。

「秘密まみれで生活するのって、わりとしんどいよな……」

「そう?」

天が守りたいものは、あとにも先にも。

「天と共有する秘密なら、歓迎する」

誰にも知られることのない、愛おしい彼女の微笑みだけなのだ。
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