惑星のダンス
「もしかして、海兄自身も同じ高校ってことも言ってない……?」

「ああ、うん」

あっさり頷いたのでますます呆れた。

天野海は愛と同様の性質を身につけている。すなわち、『透明人間』。

「天をびっくりさせたいの?」

「あいつ、からかいがいがあるんだよなあ」

悪い笑みの混ざった声でそんなことを言う。

仲がいいという証明か、と愛はそれ以上の追求をやめた。

もう自宅の前まで来ていた。

愛は無言で扉を開け、彗を担いだ海が中に入る。ここも、兄妹の呼吸。もしくは慣れ。

上がり框に彗を転がし、海は腕を回していた。

「っくー、疲れた。毎度毎度、いい筋トレだよ」

「彗兄。彗兄! 家着いたよ!」

転がった二つ上の実兄は、息をしているか不安になるくらい深く眠っている。
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