惑星のダンス
海は遠慮なく彼を揺さぶったが、頭ががくがく揺れただけで起きる気配は皆無。

「彗兄! だめだな、こりゃ」

「またソファールートか」

「しょーがない。……っせ」

再び担ぎ直した兄をリビングのソファーに連れていって、海の力仕事はようやく終わる。

「さて」

「うん」

それから二人はチェストの前に移動。

チェストの上には写真たてが並んでいる。

「ただいま、母さん」
「ただいま、お母さん」

その中の一つ、微笑む美貌の女性に向かって挨拶を。

外出時と帰宅時の挨拶は、天野家の日課である。
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