惑星のダンス
土曜日である。

事務所で待ち合わせてアイに連れてこられたのは、一般的な民家。

「どうぞ。入って」

「……お邪魔します……」

おそるおそる足を踏み入れた。事務所からこんなに近いところに住んでいたとは驚きだ。

……一昨日は海に送られたのだろうか……。

いやそんなことはどうでもいいのだ。変装用の眼鏡を外しながら天は頭を振った。

「おかえり」

と声が聞こえてきた。キッチンから足立祐実が顔を覗かせている。

「ただいま。よし、やるぞ」

「まずは二人とも手ぇ洗いなね」

足立は紺色のエプロン姿だった。髪も後ろで一つに括っている。

手を洗ってから天も自前のエプロンを身につけて、いざ料理。
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