惑星のダンス
「あに……兄?」

「実兄、天野海」

「…………お」

「祐実ちゃんおつかれさま。ありがとね、わざわざ」

「どういたしまして」

「おまえら、今までずっと隠してたのかーっ!?」

「あはははっ」

「隠してたのは海兄だけだよ。私は言わなかっただけ」

「言えよ!」

「まあまあ、包丁持ってるときじゃなくてよかったじゃないか」

「足立さっきから笑い堪えてただろ!」

握った拳がぷるぷると震える。お構いなしに海は笑い続けるし、盛りつけ終わったアイは無表情ながら満足そうにしている。

ぽん、と肩を叩かれ振り向くと、足立の同情と愉悦を混ぜた瞳とぶつかった。

「ついでに言うと、天野家の長男は、君らんとこのスイだぜ」

「えっ……えーっ!?」

目玉が飛び出しそうなほど驚くと、足立と海が揃って噴き出した。
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