惑星のダンス
そして彼はそれをシンクに持っていく。少し意外だった。

「意外って顔してる」

図星をつかれてぎくりとする。茶碗片手に首を傾げたのは足立だった。にんまりと目を細める。

「あー出た“チェシャ猫”」

「消えたり現れたりできたら世の中楽しいだろうけど」

「祐実ちゃんは似たようなことよくやるっしょ」

「とんでもない」

そうか、家ぐるみの付き合いだと言っていた。アイと幼なじみなら、彼らとも幼なじみなのだ。

気心の知れた掛け合いでようやく思い至る。

料理の最後の一口を口に放り込んだ。彗に倣って皿を片付ける。

──と、リビングに設えられた棚が目に入った。
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