惑星のダンス
高さは天の胸下ぐらいまで。棚の上には、いくつかの写真たてがきちんと並べられていた。

その中の一つに──天の目は吸い寄せられる。

美しい──少女のように若々しく、聖母のように理知的な、年齢不詳の女性。

柔らかい微笑みには慈愛が満ちている。

「──母だよ」

「っ」

椅子の背もたれに腕をかけて、海が半身を向けていた。

じっくり見ていたことは気づかれていたらしい。天は狼狽えた。

「いや、すまん。観察とか、詮索するつもりは」

「わかってるよ、そんなこと」

破顔したので嘘ではないようだ。続けて聞こえたのはアイの声だった。
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