惑星のダンス
本番
午後からも料理作りに励み、基礎を一通りできるように特訓した土曜日から一週間。

大型連休の最中、料理番組の収録の日が訪れた。

控え室でマネージャー黒森から詳しく番組内容を伝えられ、愛はしばし目を瞬いた。

「三チームに別れてのチーム戦。おまえら、ソラ、ダイチ、あとユノとトロヤの六人でくじ引いてチームを分ける」

「えっ、あたしたち二人でチームってわけじゃなかったんだ」

「あーうん。くじの結果次第ではペアになれるけど」

はえー、と美姫が髪を揺らす。肩に届かないくらいの茶髪。染めてはおらず地毛だ。

「ユノさんやトロヤさんとはあんまりお仕事したことないなあ」

ユノは売れっ子アイドル。客観的に見て“Venus”より人気だ。染めているだろう栗色の髪を持つ。瞳の色は日毎に変わる。陶器のような肌で、人形じみた造形の、愛らしい少女。

トロヤは今回出演するタレントの中では最年長だ。モデル業が本業で、たまにドラマで見ることもある。金に近い茶髪でくせっ毛。

二人ともと事務所は異なる。“PLANET”の人間ほど気楽な関係ではない。

さて、どうなることやら──。

半分くらいは己の料理の腕前を危惧しながら、収録は始まった。
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