惑星のダンス
なんとか肉を一口大に切って、天は胸を撫で下ろした。

見るとアイの方も野菜を切り終わっている。あとは炒めればいい……のでは……。

しかし互いの表情は浮かない。

作らなければならない料理は二つ。一つは酢豚、一つは。

「茶碗蒸し……」

アイが呟く。無感情ながら、途方に暮れたような雰囲気がした。

要するに作り方がわからないのである。茶碗蒸しというからには蒸すのだと思うのだけど。

蒸し方もわからない。

とはいえ制限時間つきの料理バトルだ、棒立ちになっている暇はない。

「とりあえずあれだよな、酢豚にかけるたれを」

「餡というのだと思うけど」

「どうでもいいわ」

「じゃ私炒めるから作って」

「え?」

振り向いたときにはフライパンに油を引いていて、おいずるいぞと言おうとした矢先カメラがこちらを向いて、ちっぽけな見栄のせいで口を噤む羽目になる。
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