惑星のダンス
視線に気づいた天が小さく狼狽する。

「なんだ?」

「……とりあえず、目立たないように行こう」

「ああ、そうだな」

そんなわけで、奇妙な校内探検は始まった。

『秘密』であるからには普段使う教室などではないだろう、ということで、特別棟を探索する。

「──そういや」

天が声を潜めた。

「“Venus”の新曲、公開されたな」

「ああ……MV見た?」

「見た」

二人は『暗室』とプレートがかかった扉の前で足を止めた。

薄暗くほこりっぽい、何十年も使われていなさそうな、人の気配のしない場所。
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