惑星のダンス
無言で目を見交わして、愛が鍵を取り出す。

鍵穴に差し込んで、回そうとするも──

「……開かない」

「ハズレか」

左右どちらにもびくともしない。

ため息をつきつつ鍵を引き抜いて、その場を後にする。

時々吹奏楽部員が陣取っている廊下を縫って、新たな教室を探して歩く。

「……率直に、どうだった」

訊ねたのは新曲についてだ。主語がなくても天には伝わると思ったのは間違っておらず、応答は早かった。

「正直」

間が空いたので彼を振り向く。

眼鏡の奥で、蠱惑的な光がちらついていた。

「最高にそそられた」

「……そう」
< 56 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop