惑星のダンス
『柵には近づきすぎないように。外から見られるからね。右に回ると海が見えるよ。今日は天気がいいから、夕陽が綺麗だろうね』

文面に従って、二人は右側に回ってみた。

「……すごいな……」

傍らで天が呟く。圧倒されて無意識に漏らしたような声音。

愛も全く同感だった。

秘密の鍵を与えた幼なじみは、二人がこの時間に場所を見つけることまで計算していたのだろうか。

遠くでさざめく波にオレンジが反射して、きらきらと水面が光る。

薄水色からオレンジ色へ、美しいグラデーションを描いて見せる空は水彩画のようで。

眩しくて温かくて、それは秘密の絶景だった。

「……天」

「ん?」

振り向いた天の笑顔が柔らかい。

愛は彼をひたと見つめた。
< 61 / 151 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop