惑星のダンス
「高校、行って……ない?」

「そ。中学卒業してからずっと芸能活動してたんだよ、“PLANET”としてアイドル始める前からね」

「…………」

あまりのことに絶句する。中卒だなんて、考えたこともなかった。

「あ、これ秘密ね」

「天野家、秘密多すぎだろ……」

「あはは」

快活に笑って、海は「邪魔したね」とリビングを出て行った。

半ば呆然としたまま手元の黒い液体に目を落とす。

コトン、と湯飲み茶碗を置きながら、足立が言った。

「さーて、遠い将来のことを考えるのもいいけど、まずは目先の日常だ」

「う」

「再開するぞーテスト対策」

そうして、リビングに落ちる陽の角度が変わり、オレンジ色が増す頃まで、勉強会は続いた。
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