惑星のダンス
「──そろそろお開きにしようか」

足立の声で天はぐったりと机に倒れ込んだ。

頭の中ではド・モルガンの法則と宇治拾遺物語が交互に点滅して目が回りそうである。

こんなに長い時間勉強したのは受験以来……と、学生としてはいささか難ありな天を後目に、足立はさっさと帰り支度を済ませていた。

「これ、あげるよ」

そう言って彼女がなにかを置いたので、首を起こして見てみる。

一冊のノートだった。色の違うそれを愛も受け取っている。

「じゃ、赤点回避できたらいいね」

手を振って彼女は帰っていった。

小首を傾げつつノートをぱらりとめくると、覚えるべきことが教科ごとにびっしりと書き留められていた。

「うわ、すげ」

「さすが祐実」

愛のノートも見せてもらうと、自分のものとは若干中身が違う。まさか、個々人に合わせた特別製?

「……恐ろしいな、あの女」

「お礼の品、どうしようかな」

「あっ、俺も用意するべきだよな……」
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