惑星のダンス
そんなステージの舞台裏。

関係者としてそれを眺めていた女は、“Venus”の曲が終わるや否や足早に会場を去り、スマートフォンを取り出した。

電話をかけた相手は呼び出し音を三回数えたところで出た。

『──はい』

「デュエットをさせる気はない?」

『……は?』

「曲を書き下ろすわ。絶対に聴きたくなる」

『待て、話が見えないんだが』

作曲家は一つ舌打ちをする。こんな説明でわかるのは超能力者くらいだ、苛立たれる筋合いはないのに、電話の相手は不運である。

もっとも、日常的なことでもあるが。

「アイとソラの二人で曲を出せって言ってんのよ」

『全然そうは聞こえなかったぞ……』
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