惑星のダンス
教室でもその話でもちきりで、今日一日はずいぶん居心地の悪い思いをした。

同校の制服に身を包む彼も同様だろう。

社長は少し笑みを深めた。

「“サミダレ”はわかるだろ?」

「ああ」

愛は横目で天を見た。彼は無言だ。困惑している、とわかった。

今この時期、梅雨のことではない。毎年訪れる梅雨前線の話を、わざわざ社長室でする意味などない。

見当がついていないらしいから、補足してやることにした。

「私たちの曲の多くを手がけてくれている、作曲家のサミダレさんのことでしょうか」

「その通り」

「……それが?」

二人を見つめて社長は言った。

「彼女から昨日、連絡があったんだ。君たち二人のために曲を作ると。……つまり、君たち、組んで仕事をする気はないか?」

予想だにしないことに思わず目を瞬いた。
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