惑星のダンス
きっぱり言い切って、天はふっと目を逸らし、唇に淡く笑みを浮かべた。

「──楽しみだ」

「……そう」

愛は身を翻した。天はもう追ってこない。

彼女がすでに怒って──拗ねていないことがわかったからだろう。

社長室で話を聞いたとき、愛の胸は沸き立ったのだった。

どうしてなのか、わからないが。ミキ以外と歌うことが初めてだからかもしれないし、単に新しい仕事だからかもしれない。

けれど確かに沸き立ったのだ。

心踊った──とも言う。

サミダレが手がけるならいい曲なのに違いない。アイとソラで、と言うなら、二人で歌うべき、二人以外には歌えない曲なのだろう。

誰もいない廊下ゆえ、彼女の笑顔を見た者はいなかった。
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