惑星のダンス
ぽつり、となにかを小さく言う。

訊き返そうとして、それが歌詞だと気づく。

“天空を泳ぐ”の一節。

天空を泳ぐ、光の跳ねる、それが恋だと私は知らずに、泉に波紋を描いた──。

天も口ずさんだ。

深い海の青でも足りぬ、雲たなびく空を見上げて、焦がれて燃える、僕は背を向けた。

……ずれた。

この噛み合わなさはなんなんだろう。

タイミングよくゴンドラが帰還して、二人は地上に降りた。

「次は水族館だ」

「……りょーかい」

“泳ぐ”ってことだ。天は愛のあとについて行きながら、わずかに顔をしかめる。
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