【短】星のカケラが海に落ちた
全ての仕事を終えた彼女を、惑星の端っこに寝そべって見ていた彼は、ぷはっと浮かんで来た彼女に声を掛けた。
「星海、また?」
「うん。でも、最後は綺麗なお願いだったよ?相手の気持ちを包み込みたいって、ね」
「そっか…そういうの、大事だもんね」
「うん」
ぽたぽたと水滴を落としつつ、這い上がって彼の隣に座り込む彼女は満足そうに、そう言って微笑んだ。
彼は、そんな彼女の笑顔が大好きだった。
だから、濡れることもお構いなしに、横から抱き締める。
「そーら!濡れちゃうよー?」
「いいよ。だって、星海可愛いんだもん」
「…だもんって…。それを言うなら蒼月も可愛いけどなぁ?」
桃色に強く発光した惑星は、二人の絆を深めていく。
二人の間に人間で言う所の"愛"という感情は上手く成立しないが、それ以上に深い想いの渦は常に増している。