【短】君と、もう少し
「はー…もー…このまま早退しちゃおーかなぁ…」
深い深い溜息。
鏡の中には今にも泣きそうな自分の顔。
私は徐ろにポケットからリップクリームを取り出して、口唇に薄く塗ってから呼吸を整えた。
だって、今日は大事な委員会会議の日だ。
一応副委員長をしてる私が休むわけにはいかない。
それに……。
「鳴海先輩…か……」
私は、私を好きだと言ってくれた鳴海先輩の名前をぽつりと呟いて、トイレを出た。
なんとなく。
なんとなく、だけど…。
鳴海先輩の傍で笑っている自分の姿は、安易に想像出来てしまう。
淳太との未来のビジョンは丸きり浮かばないくせに…。