【短】君と、もう少し
なんとなく…が、どんどん大きくなっていっている気がする…。
でも…。
自分の気持ちがちっとも分からない。
私が好きなのは…淳太のはずなのに。
死ぬ程優しい手を差し伸べてくれる、鳴海先輩に心が傾いているようで…そんな自分が、とても汚れたように思えた。
だったら…。
淳太への想いも、鳴海先輩への気持ちも、線を引こう。
ずるいと言われるかもしれない。
それでも、中途半端な想いで二人の間にいるよりはマシだと思ったんだ。
そこへ、帰る支度を終えたらしい鳴海先輩が現れる。
優しい眼差しをたずさえて。
「あれ?藍沢さん?まだ残ってたの?」
「あ、あのっ!鳴海先輩…あの…」
いざ、自分の気持ちを言葉にしようとすると、それはとても難しいことで…私は口をつぐむ。
それに対して鳴海先輩は、ぽん、と私の頭を撫でると静かな声で言った。