【短】君と、もう少し


「遥!遥!はーるーか!!」

「んもう、うるさいなぁ。そんなに名前叫ばなくても聞こえてるよ」

「だったら、なんで俺の隣で溜息なんて吐いてんだよ?」

「溜息じゃなくて深呼吸!」

「…ふーん?」


嫌味じゃないくらいのほんのり日焼けをした肌に、さらさらの色素の薄い髪。

それなのに、瞳の色は濃い茶色をしていて、整った口唇には、いつも笑みが浮かんでる。

実はサーファーとかしてんじゃないの?と思うような淳太の風貌に、この人懐っこい性格をドッキングさせたら、本人が何か仕掛けなくても周りからわんさか寄ってくるだろう。


風のうわさでは、他校何校かの女子も淳太を目当てに、待ち伏せしたり告白しに来たりしてるらしい。


そして。


淳太は、それらを拒まない。

女の子たちにキャーキャー言われる中で、まるでどこぞのアイドルよろしく、余裕で手を振ったり、握手をしたり。


それで、そのままの流れで付き合いだした子は数知れず。
そこで泣かせた女の子も数知れず。


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