【短】君と、もう少し
「あれー?舞ちゃんじゃん!なになに?遥となんの話してたのー?」
なんだか、ウキウキ顔の淳太。
その後ろには顔を赤らめた女の子の姿が見える。
「内緒。てか、その子誰?」
「えー?教えてくんないの?悲しいなぁ。あ、この子?俺の彼女」
「……はぁ。あのね?いちいちその報告私達にいる?面倒くさい男ね。そんなんじゃ、いつか”愛想つかされる”わよ?」
「そう?でも、”向こう”は全然気付いてないけどね」
私にはなんだかよく分からない会話を交わすと、舞は淳太を右手でシッシッと避けて、わざとこう言った。
「今はね、遥とコイバナしてるんだから、可愛い彼女が出来た古木くんは何処かに行っちゃって下さーい」
「ちょ、舞!?」
「え…コイバナ…?」
「ねーぇ?淳太くぅん。早くクレープ屋さん行こ?」
この場の雰囲気を全く気にしない、空気の読めないらしい、淳太の新しい彼女が自分の胸を淳太の右腕に押し付けるようにしてしなだれかかって、そう言ったことによってしんっとなった会話が、少しだけ歪んで流れた。
何時ものへらへらした笑みを浮かべた淳太によって。