【完】ファムファタールの憂鬱
これにしても、それ以来困ったことは…。
この体質のことで。
小学生の頃は全くそんなことはなかったと思う。
この変な体質が顕著に現れ出したのは、確か…思春期真っ只中の、中学2年生くらいの頃からだったと思う。
丁度その頃って、からかう為に誰が誰を好きだとか、友達にそそのかされて軽い気持ちで告白をしてくることが多い時期だから…。
よく、私の周りの女子も呼び出しされて、告白されていたっけ…。
そんな中、私も、2回だけ…たったの2回、だったけれど、呼び出しを受けたことがあった。
1度目は中学3年の時に、仲の良かったクラスメイトから。
2度目は高校1年の時に同じ部活の先輩から…。
だけど、それは…ただの好奇心なだけで。
「あの神咲に告白したらどうなるか」
くらいの気持ちだったんだろうなぁと、今なら思う。
そして…その告白を受けた後、私は家に帰ってから、盛大なくしゃみをして、子猫へと変身したんだ。
最初は自分の辛い体質に悲しくて悲しくて、泣いたけど。
歳を重ねて、徐々にそんなことでばかり泣いてはいられないと開き直るようになっていって。
今では、興味本位な告白を事前に止める術も身につけた。