【完】ファムファタールの憂鬱
そして、その翌日から…私の苦行が始まった。
「あ!神咲さん!今日も素敵だね!今度お茶でもどう?」
「あー…そ、そうだね、また今度ね」
顔が引きつってしまいそうになる。
あぁ、どうしよう…こんな状況耐えられないよ…。
なのに、次から次へとそれはそれは今まで、あり得ないくらいに、男の子から声を掛けられていく。
「神咲さん!神咲さん!これから俺らドライブ行くんだけど一緒にどう?」
「う、うーん…ごめんね?私乗り物酔いしやすくて…」
花音と約束してからというもの、何処を歩いていても男の子に声を掛けられて、ほぼ心の中でテンパっている私。
それを見て、なんとか頑張れ!乗り切れ!と握り拳を作り続ける花音。
というか、なんだっていきなりこんなに、声ばかり掛けられるのか不思議でならない。
一体何が起こってますか?
「ふぅ…」
私はちょっとへばって、小さく溜息を吐く。
そういや、私の今までの人生溜息だらけだなーとか思いつつ。
もう、ほんとに…辛い。
というか、恐怖でしかない。
こんな隠れられる所もない無防備な場所で、告白なんか受けたら、私は一環の終わりだ……。
すると、向こうの方からサークル仲間なのかなんなか、男女数名の輪がやって来た。
わちゃわちゃとした、雰囲気に思わず魅了される。
キャンパスライフっていうのは、きっとああいうことを言うんだろうな……。
そう思ったら心の底から羨ましくなる。
と、そこで聞いたことのある名前が話題に出てきた。