【完】ファムファタールの憂鬱


それから徐々に、彼女にまつわるいくつものウワサを耳にする。

いつもおしとやかで、お姫様のようだとか。

隅々まで洗練されていて、才女だとか。

更には…。

誰も近付くことの出来ない「高嶺の花」、だとか…。


それは…まぁ確かにどれも彼女に合ってるのかなとも思うけど…。


でも、そんなに華やかならば、どうして彼女の周りにはいつも数人の固定した友達しかいないのか…。


それに、どうして…彼女は男に声を掛けられると、困った顔を更に困らせて、すぐに一礼をして去っていってしまうのか…。


謎が謎呼ぶミステリー。

彼女は俺にとって全てが秘密の塊みたい。 

見つめている内に、見守っている内に芽生えていくきみへの気持ち。


ねぇ…俺の中に浮かんだ思い。

きみのことがもっと知りたい。


それは…今まで生きてきた中で、初めての感情。


許してもらえるかな…?

近付かせてもらえるかな?


出来れば……きみの温度が知りたい…。



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