【完】ファムファタールの憂鬱
再度想いを認識してしまったら…あとはもう、するすると何処までも落ちていくだけ。
ぽっかりと空いた恋というブラックホール。
その無限の重力にいくら藻掻いても逆らえなくて…。
すっぽりと抱き止められた腕の強さに。
感じてしまった、彼の熱に。
私の心は荒ぶって、先の見えない展開については行けず、とうとう熱を出して寝込むことになった。
いわゆる、知恵熱?
それって…小さな子がなるものじゃなかったの…?
『大丈夫?静紅ちゃん』
「うん、大丈夫…電話ありがとう…凄く嬉しい」
床にふせった私の体調を心配しそうにして、休んだ2日間メールや電話をマメにくれるじんくん。
本当は看病しに行く!
くらいの勢いで、家まで行くよと言われたんだけど…。
すっぴんもパジャマ姿も、じんくんに見せるわけにはいかず…。
更には、こんな狭い空間でじんくんと二人きりだなんて、そんなことは耐えれなくて…丁重に辞退した。
いやもう…その気持ちだけで、涙が出るほど嬉しいから…。
そして、休み明け…。