【完】ファムファタールの憂鬱
そんな中で出会った彼女。
彼女は、とても優しい。
そして、芯が強い。
それは、本人も周りのやつも感じてないこと。
だから、守りたい。
誰よりも、誰よりも。
それが、人を好きになるってことだとは、その時思いもよらなかったけど…。
困った顔をしている彼女から目が離せなくなって、どうしても力になりたくて、気付けばいつも傍にいた。
くるくると愛くるしく変わる表情を見せてくれるようになって、心底ホッとした。
それを俺がさせてるのかもと思ったら、胸が踊るようだった。
「最近、迅てば変わったね。すっごい一途」
笑いながら、いつものグループの中のやつらに茶化されたけど…それくらい、彼女に対して気持ちが傾いてるんだって思えば、全てが腑に落ちる。
「しょーがないじゃん?好きなんだから」
それが、その頃からの俺の口癖だった……。