【完】ファムファタールの憂鬱
人を好きになる時には、必ず…愛情の天秤というものがあるらしい。
どちらかが、愛情を多く注いでも、その逆であっても駄目なんだって。
それも、晩年の親父が俺に話してくれたこと。
俺は彼女のことが好き。
でも…彼女は…?
隣で心地良く笑っていてくれることが、こんなにも嬉しいなんて思いもしなかった。
だから、同じ気持ちでいてくれればと…そう思って来たこの一ヶ月以上の時間。
そして……。
もしも…あの時感じた想いが本物なら。
俺は、きっと…もう。
誰にも彼女を渡さない。
人を好きになる理由が、あるかどうか…。
きみに、全てを教えて欲しい。