【完】ファムファタールの憂鬱
「いつから?」
「…え?」
「いつからこの体質になったの?」
「………」
「言いたくない?」
口をつぐむ私に対して、じんくんはどこまでも優しい。
私はそれに甘えることにして、ゆるゆると今までのことを打ち明けた。
ずっと虐められていたこと。
自分に自信が全くないこと。
猫に変身するようになったのは…その頃からだということ。
それでも、肝心の『なんで、猫に変身するのか』は流石になかなか、口にすることが出来なくて…。
ふと黙った私は、そこで漸く元の姿に戻った。
じんくんはそんな私をまじまじと見てから、こう言った。
「可愛い…静紅ちゃんは、どんな姿でも…可愛いよ?」
私はその言葉に、涙が止まらなかった。