七宝 -なほ-
今から18年前、高校3年生だった功太(こうた)は毎日、高校の売店に行っていた。

それと言うのも、

「今日も焼きそばパンですか?」

売店のアルバイトをしているセシルに会う為だ。

セシルはオランダ人だったが、日本語が上手だった。

商品をソッと取って置いてくれる優しさに惹かれ、功太の熱烈なアプローチの末、付き合う事になった。

セシルが大切だから避妊はしていたつもりだったが、ある日を境にセシルは売店に来なくなる。

セシルは妊娠していたが、高校生の功太に迷惑は掛けられないと、ひっそりと姿を消し、1人で子どもを産んだ。
子どもは、蓮奈と名付けられた。

だけれど、慣れない土地で、外国人が1人で子どもを育てるのは無理があった。
セシルは育児ノイローゼになり、ある日、何も知らない功太の家に向かい、蓮奈を託すとそのまま帰らぬ人となった…。
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