七宝 -なほ-
2人の話によると、今から30年前、満里奈と康弘は結婚をした。

それから10年、子宝には恵まれず、そんな時、満里奈の両親が事故に遭い、他界。
当時中学生の妹・夏波(かなみ)を引き取る事にした。

夏波は高校に入るとすぐに、クラスメイトとの子どもを妊娠してしまう。

まだ学生と言う事で、諦めさせる事も出来たが、自分にはなかなか子どもが出来ない分、中絶を進める事は満里奈にはどうしても出来なかった。

夏波は妊娠しながらも高校に通い続け、冬のある日、ひっそりと出産。
世羅と名付けた。

世羅の世話は、日中は満里奈、高校から帰って来てからは夏波と決まっていたが、

「あらあら、そうじゃないさぁ、夏波」

満里奈がしょっちゅう口を出してきて、母親として自信を失いかけた時、幼い世羅が満里奈を『ママ!』と言った事で完全に母親としての自信を失った。
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