飛鳥くんはクールなんかじゃない
「ねぇ凛ちゃん。早く着替えて遊ぼうよ」
そんな彼女の気をそらすかのように、私は声をかけた。
荷物番を飛鳥くんたちに任せて、私と凛ちゃんで海の家に着替えに向かう。
「そういえば花帆。渡くんに水着買ったこと言ったの?」
「え?言ってないけど……」
更衣室から出たところで、凛ちゃんが私に聞いてきた。
実は海に行くことが決まってから、私と凛ちゃんで新しい水着を買いに行ったのだ。そのことを知ってるのは、凛ちゃんの他にお母さんくらい。
「え、それって結構まずいかもよ……?」
飛鳥くんに言った方がよかったんだろうか。
私が飛鳥くんに伝えてないことを言うと、凛ちゃんは眉をひそめ怪訝な顔を浮かべた。